大学院に進学するべきか
大学を卒業したら就職する人がポピュラーだと思いますが、大学院に進む人もいます。
大学院に進む目的や、メリット、デメリットについて話したいと思います。
大学院に進む人数
文部科学省の学校基本調査によれば令和二年度の修士課程の人数は160,326人となっています。
2020年9月1日時点で、20-24歳の人口は計640万人ですので、大学院が2年間ということを考えれば、修士課程の人の割合は6.3%になります。
また年度ごとに大学院に進む人が増えているのが下の図からわかりますね。
大学院進学の目的
大学院に進む人は何を目的にして進学するのでしょうか?
例えば、
- 専門知識、技術を身に着ける
- 大学教授を目指す
- 研究で偉大な成果を残す
などが考えられます。
文部科学省によると大学院の定義は、
大学院は、学術の理論及び応用を教授研究し、その深奥をきわめて、文化の進展に寄与することを目的とする。(学校教育法第65条)
とあります。
要するに研究分野を深掘する場所だということです。
しかし、こう考える人も多くいると思います。
私は深く考えずに修士課程に来たのでこちらの理由のほうが強いです。
大学院に進もうか悩んでいる方は、就職活動を大学3、4年生でした上で、進む理由をしっかり考えてほしいです。
進学のメリットデメリットを挙げるので参考にしていただければと思います。
大学院のメリット
大学院修了による賃金の上昇
大学院を修了すると一般的に大卒よりも生涯年収が多くなります。
独立行政法人経済産業研究所の「大学院卒の賃金プレミアム ーマイクロデータによる年齢ー賃金プロファイルの分析ー」では、25、6歳で大卒同年代(入社2年違い)と年収が並び、以降追い抜いています。
研究職など、職種選択の幅が広がる
理系の技術職と呼ばれる中でも、研究職は特に専門的な知識が必要とされるので修士まで取ったほうがなりやすいと言えます。
会社に入って研究をし、社会に新たな技術を導入したい!と思う人にはおすすめです。
就職に有利
大学院生の就職活動は大学生と異なり、推薦がもらえます。教授が企業とコネクションを持っていたりするとさらに受かりやすくなります。
しかし、推薦は一長一短があります。長所は受かりやすいという点ですが、短所は推薦で内々定を得た企業は断りにくいという点です。
私の体験を話すと、推薦書を選考の段階で求めてきて、他社を受けにくくさせたり、選択の幅を狭めてくる企業はありました。
しかも推薦を出せば受かるわけではなく、普通に落ちます。
推薦制度は企業側には内定辞退の可能性が低いというメリットがありますが、こちらの受かりやすいメリットはそれほどないように感じ、この制度に疑問を感じます。
2年間は働かないでよい
研究はするものの、自分の裁量次第で平日に遊ぶこともできます。社会人には難しい長期休みも取れるため、旅行に行き放題です。
時間に余裕があるため、取りたい資格、やりたい勉強をすることだってできます。私はこのメリットが一番大きいと思います。
大学院のデメリット
ここでは私の体験をもとに話したいと思います。
社会進出が遅れる
大卒と比べて2年遅く働くことになるので、その分社会とのつながりが少なくなってしまいます。
20代という貴重な期間を研究室にこもり、論文やパソコンとにらめっこするのは大きな機会損失のように感じています。
もちろん交流が盛んな人はいるし、研究をまじめにやれば考察能力が上がります。
しかし、会社で働きながらでもこれらは伸ばせるのではないかとも思います。
就活にバイアスがかかる
私は就職活動で化学メーカーの技術職しかみませんでした。
化学系の大学院を出ているんだから...という理由で。
最近はIT系も面白そうだと感じるようになったり、就職先が(おそらく)地方なのでゆかりの無い地で働くのが自分にとって良いことなのか考えたりしています。
専門分野バイアスを外すためには、専門外の領域に目を向けたり、学部の頃に就職活動をしたりして、広い視野を持ってほしいと思います。
研究がつらい
研究にもよりますが、研究は成果が見えにくく、給料も出ないのでつらいです。モチベーション頼りです。
私の周りでは研究が嫌で研究室に来れない人がいたり、就職が決まってない人がいたりします。
すべてが研究のせいではないと思いますが、研究と自分の性格の相性は間違いなく有るので4年生で研究と向き合って無理そうなら大学院に進むことはやめた方が良いです。
研究との相性を考えて大学院に進むとこの研究がつらいというデメリットが一番大きいと思います。
まとめ
大学院に進むことには一長一短があります。
あなたが進学すべきかどうかわかるのはあなた自身です。
何を目的に進むのか改めて考えてみてはいかがでしょうか。